【8】ラクダと熱力学の檻

2025年4月11日 2025年4月11日

tomoaky

渡辺多々梨は、ある日ネットの掲示板で奇妙な書き込みを見つけた。

「アラビアの砂漠に“熱力学第四法則”を研究していた狂った日本人科学者の廃研究所がある。そこには、“熱の記憶を持つ動物”が封じられているらしい」

オカルト話と聞けば飛びつかずにはいられない多々梨は、千葉から飛行機を乗り継ぎ、中東のとある国境地帯へと向かった。

現地で案内人に話を聞くと、皆、口を閉ざす。ただ一人、年老いた遊牧民が言った。

「その地には…熱を喰うラクダがいる。日が昇れば生き、日が沈めば人を溶かす…」

炎天下の砂漠を進むと、やがて金属の錆びたゲートにたどり着く。そこには英語でこう書かれていた。

THE THERMAL BEASTS PROJECT – ACCESS FORBIDDEN

瓦礫の山を越えると、地下へと続く鉄の階段があった。まるで地獄の入り口のようだった。

「……本当に、熱力学とラクダの研究してたのかよ、マジで……」

地下施設には巨大なガラスの温室のような部屋があった。中央には――炎のように揺らめく毛並みを持つ一頭のラクダが、じっとこちらを見つめていた。

研究所のノートを漁ると、異常な記述が出てきた。

「第四法則：生物が発する体温は、外部に熱エネルギーを奪うことで逆転保存される。」「被験体003《ラクダ》：絶えず環境から熱を奪い続ける存在。体内温度は-273.15℃を超え、存在してはならない。」

その時、多々梨は気づく。

温室の中で、ラクダの足元の**金属が凍っていた。**ここは砂漠のど真ん中だ。なのに……

「……やばい、ここ……温度、おかしい……っしょ……」

冷たい息を吐きながら逃げ出そうとしたその瞬間、ガチャン――と扉が閉まる音。

ラクダがゆっくりとこちらに近づいてきた。目が、熱ではなく“記憶”を燃やしていた。

鏡に映ったような幻影の中で、多々梨は自分がラクダの視点で研究を繰り返していた過去を見た。

彼女の記憶が、一つずつ燃えていく。生まれた街、家族、名前すらも――。

最後の記憶が失われる直前、彼女はネックレスの十字架を取り外し、ラクダの額に叩きつけた。

――バシュウウウウッッ！！

霧のような熱気と冷気が交錯し、研究所全体が揺れた。壁が崩れ、砂の光が差し込む。

だが、多々梨はもはや自分の名を思い出せない。

ふらつきながら外に出たその背中に、冷たいラクダの影がずっと重なっていた。

生成メモ

怖あい話GPT2025を使用して生成、プロンプトは『ラクダと熱力学』

現状GPTsはDALL-E3で画像が生成されるので試しに4o Image Generationでなるべく同じプロンプトになるように生成してもらった。やはり服装の指定が怖いくらい安定してる。