【3】S-DNA ~ネタに宿るもの~

1. 【異常な研究依頼】

ある夏の終わり、渡辺多々梨の元に、奇妙なメールが届いた。

「あなたのような方にしかお願いできない調査です。“寿司ネタからDNA異常が検出されました”。至急、築地の旧研究棟へ来てください。」

差出人は「築地魚類遺伝研究会」。聞いたこともない団体だった。

「寿司にDNA異常って…どゆこと?ネタに人格でも宿ってんの?」

そう呟きながら、黒いワンピースにオレンジのベストを羽織り、彼女は築地市場跡地へと向かった。


2. 【封鎖された研究棟】

築地の裏手、錆びた鉄柵の奥に建つ旧研究棟。中はひんやりとした空気に満ち、ホルマリンのような匂いが漂っていた。

研究員らしき男が現れ、開口一番こう言った。

「渡辺さん、今朝、“大トロのサンプル”が自分で動いたんです」

「…は?」

「培養シャーレの上で、触手のようなものを伸ばしました。解析すると、人間の脳幹に酷似した構造が…」


3. 【ネタの記憶】

冷凍庫室で保存された寿司ネタのサンプルには、いくつか“音声記録”が残っていた。

人の声だった。

「くるしい…たすけて……」
「また…喰われるのか…」

「これは、ネタに含まれていた記憶痕跡と考えています。人間に喰われる直前の“意識”がDNAに転写され、微細に再生されているのです」

多々梨は背筋が凍った。

「つまり、ネタにされた生物たちが“感じてた苦しみ”が、今でもこの中に…?」

研究員は頷いた。


4. 【S-DNA覚醒】

その夜、冷凍庫の中で突如異変が起きた。シャーレの中のサーモン片が激しく震え、やがて周囲の金属器具を取り込んで形を変え始めた

“ネタ”は、自分を喰った人間の記憶を吸収していた。

「これが“S-DNA”の本質です。生物の“恨み”が、構造的に記録され、自己保存と復讐本能を持って進化したんです…!」

叫んだ研究員は、直後に“中トロの塊”に首を締め上げられ、沈黙した。

多々梨は逃げた。ベストが引っかかって裂けても、靴紐がほどけても振り返らずに。

だが――背中に聞こえてきた声だけは、今も耳に残っている。

「つぎは…おまえがネタになる番だよ…」


5. 【終幕】

館山に戻った多々梨は、魚介類を一切食べなくなった。

ある夜、回転寿司店の前を通ったとき、彼女はショーケースの中に“自分の顔”が映っているのを見た。

それは、イカの寿司の下に貼りついていた。

“DNAは、喰われた恨みを忘れない”

それが彼女の最後の調査ノートの記述だった。


― 完 ―

生成メモ

怖あい話GPT2025を使用して生成、プロンプトは『寿司のDNA』