【6】鏡裏のひとり

第一章:古道具屋の呼び声

渡辺多々梨(わたなべ・たたり)は、館山の駅前にできたばかりの小さな古道具屋をふらりと訪れた。
ガラス窓には「萬屋 黒月堂」という名前が煤けた墨字で書かれている。どこか時代錯誤な雰囲気に、彼女のオカルト魂がくすぐられたのだ。

「なんかヤバそうな匂いすんね、ここ…おもしろそっ」

彼女はドアベルの音とともに店に入った。店内は埃っぽく、古びた掛け時計や手の形をした蝋燭立てが無造作に置かれていた。その奥、煤けた布に覆われた棚に、一枚の大きな姿見があった。真鍮の縁取りが施され、鏡面には細かな亀裂が走っている。

「これ…なんかあるっしょ?」

鏡に近づいた瞬間、背後から店主が囁くように言った。

「その鏡…ひとりになると、もう一人の自分に出会えるよ」

笑ってるのか、脅しているのかわからないその声に、多々梨はゾクリと背筋を震わせながらも、鏡を購入してしまった。


第二章:ふたりになる夜

鏡を自宅の六畳間に設置したその夜、多々梨は変な夢を見た。

夢の中で、彼女は鏡の中に吸い込まれていた。
鏡の中の部屋はまったく同じ配置、ただし左右が反転していた。

そこで彼女はもう一人の「自分」と出会う。だが、その自分は微笑みながらこう言った。

「こっちのほうが、本当の世界なんだよ?」

次の瞬間、鏡の中の多々梨がこちらに向かって手を伸ばしてくる。
「交代しよっか」と囁きながら、冷たい指が鏡を越えて彼女の首を掴んだ。


第三章:誰も知らない違和感

翌朝、多々梨は目覚めた。だが、何かがおかしい。

ネックレスの十字架が逆さまに下がっている。
玄関の靴は、左右逆に置かれていた。
そして、スマホに登録されていた「自分」の声の録音が、別人のような低い声に変わっていた。

「おはよう、たたりちゃん。今日も鏡の中は平和だよ」

というメッセージが、スマホの通知に浮かんでいた。


第四章:鏡の裏側から

日を追うごとに、鏡の中の“もう一人”が現実世界に侵食していく。
多々梨はひとりでいる時間が長くなると、鏡の中の影がこちらをじっと見ているのを感じるようになった。

彼女は恐ろしくなり、鏡を捨てる決心をした。
だがその夜、部屋の明かりがふっと消え、鏡の中の「渡辺多々梨」が、こちら側に完全に出てきてしまった。

「ありがとう。これで…私が“ほんもの”」

そう言うと、もう一人の多々梨がナイフを取り出し、本物の多々梨の足を切りつけた。


最終章:二重の静寂

鏡の中に閉じ込められた本物の多々梨は、何度も鏡を叩き、叫んだ。

「出してっ!あたしが本物なんよ!!」

だが、外の世界では偽者の多々梨が彼女の人生を生きている。
友人と会い、町を歩き、微笑むその姿は完璧だった。

…そして今日もまた、古道具屋「黒月堂」では誰かが新しい鏡を見つけてしまう。

「ひとりになると、もう一人の自分に出会えるよ」

あの声が、また囁く――


― 完 ―

生成メモ

怖あい話GPT2025を使用して生成、プロンプトは『怖い話聞かせて』

今回からGPTs側の指示パラメータに『一度の生成で話の全編と二つの画像をすべて出力』『見出しや強調文字の使用』『話の最後に ― 完 ― を出力』を追加。クライマックスの直前で出力を止めてしまうことがたまにあったので。文字修飾はきちんと機能するかわからないけど試しに。