猫の声に隠された熱帯夜の恐怖
夏は特に夜、冷房のきいた自室でゆっくりと過ごすのが好きだ。だが、ある夜、その日常が一変した。あれは真夏の熱帯夜、皮膚を襲う湿気と暑さが快適さを奪っていた。
夜中、遠くで発情した猫の声が聞こえてきた。一瞬、うっとうしいと思ったが、猫が外で生き抜くための自然な振る舞いだと納得し、そのままにした。
しかし、時間が経つにつれ、その声は私の部屋に近づいてくるように感じた。そして突然、その声が人間の言葉に変わった。
「外、暑い…」
その声はあくまで猫の鳴き声。しかし、それが「人間の言葉」を伝えていることに疑いの余地はなかった。
不思議に思いつつも、夜中に窓から入る風を待つために窓を開けた。その瞬間、再び声が聞こえた。「ここ、涼しい…」猫のような人間の声は、まるで部屋の中を見て喋っているかのようだった。
恐怖に身が震え、窓を閉じようとしたとき、「入りたい…」という声が耳に響いた。窓を閉じ、部屋の電気をつけたが、外からの声は途絶えなかった。
一晩中、その声が耳に響き続け、恐怖で眠れぬ夜を過ごした。翌日、猫の姿を見つけることもなく、あの声が何だったのかは今でも謎だ。しかし、以来、真夏の夜、窓を開けることはなくなった。
その熱帯夜の恐怖体験が、私の日常を変えた一夜だった。そして今でも、遠くで猫の声が聞こえる度に、あの夜の恐怖が蘇ってくる。
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真夏の熱帯夜、自室で遭遇した恐怖体験。 外から発情した猫のような声が聞こえてくる。
しばらくして突然猫のような声で人の言葉が聞こえる。
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