蝶の歌、朝の呪縛
昔々、遠くの村に「瑠璃の墓地」と呼ばれる古びた墓地がありました。この墓地には、墓石の形が珍しく、青白く光る石が散りばめられていたため、その名が付けられました。夜には、墓地全体が幻想的な光を放って、遠くからでもその場所がわかるほどでした。
ある夏の夜、町の青年・和也が友人たちと墓地に挑戦することになりました。和也は勇敢であり、子供のころからオカルトに興味を持っていたが、瑠璃の墓地に足を踏み入れるのは初めてだった。
友人たちは酒を飲みながら、怖い話を語り合いました。和也は墓地の一番奥にある古い墓を見つけた。その墓には、古びたトーストの形をした石が置かれていた。トーストの形の石の前には、美しい蝴蝶「バタフライ」が舞っていた。
和也は蝴蝶に魅了され、その場にしばらく立ち止まっていました。突然、彼の背後から子供のような声がした。「トーストを食べる？」和也は振り返ると、小さな幽霊の少女が彼をじっと見つめていた。その目は、無限の悲しみと哀れみに満ちていた。
和也は驚き、後ずさりをした。少女は「このトーストには、私の魂が封じられているの」と言った。「私を解放してくれたら、お礼をするわ」と続けた。
和也は彼女の言葉に従い、トーストの石を手に取った瞬間、全身が冷たくなり、動けなくなった。彼はトーストの中に閉じ込められた気がした。彼の精神は深い闇の中に取り込まれ、周りの声や光はすべて遠くなった。
その後、和也の友人たちは彼を探しましたが、見つけることはできませんでした。彼らが瑠璃の墓地を後にした後、墓地の中央に新しい墓石が一つ増えていました。その墓石には、青白い石で「和也」と刻まれており、その前には蝴蝶が舞っていました。
村の伝説によれば、瑠璃の墓地はかつて呪いをかけられた場所であり、その呪いはトーストの石に封じ込められていたと言われています。それ以後、誰もその墓地に近づくことはなくなりました。
ところが、ある日の朝、村人たちが目撃したことが村に新しい伝説を生むことになる。瑠璃の墓地の入口に、新しく焼きたてのトーストが一つ置かれていたのです。
もちろん、その焼きたてのトーストが誰によって、なぜ置かれたのかは誰も知りませんでした。恐怖と興味が交差する中、村人たちは再び瑠璃の墓地について話し始めました。
その頃、村の隣町に住む美しい女性・瑞穂がこの伝説を耳にしました。彼女はかつて和也と恋人同士だったのです。瑞穂は和也の消息が途絶えてから心の中で何かが壊れてしまったように感じていました。
和也の失踪から数ヶ月後、彼女は瑠璃の墓地へ向かう決意を固めました。彼女の心には、和也との再会への希望が芽生えていたのです。
瑠璃の墓地への道中、彼女は道端で奇妙なバタフライに出会いました。その蝶は人々が言うところの、あの美しい蝴蝶でした。瑞穂はその蝴蝶に導かれるように墓地へと進んでいきました。
墓地に着いた彼女は、和也の名前が刻まれた墓石を発見しました。涙が溢れ、彼女は墓石に手をかけ、和也の名前を呼びました。
その瞬間、幽霊の少女が再び現れました。「あなたは和也の知り合い？」と少女は聞きました。瑞穂は少女に和也のことを尋ね、彼女が幽霊であることを理解しました。少女は「私はかつての呪いに縛られ、解放されるために和也の力を借りたの」と語りました。
そして、和也が幽霊の少女の呪いを解いた代償として、自分自身が呪いに囚われてしまったことを告げました。瑞穂の心は悲しみで満ちましたが、彼女は決して諦めませんでした。
幽霊の少女は、「呪いを解くには新しいトーストを作り、夜明け前に墓地で食べる必要がある」と語りました。そして、そのトーストには特別な材料が必要だと付け加えました。
「バタフライの翅と、月明かりの下で採取したハーブ、そして最後に一滴の涙。」少女は言いました。
瑞穂は彼女の指示に従い、命がけの冒険を始めました。彼女の胸には和也への愛と、彼を救うという強い決意が実りました。
バタフライの翅を手に入れ、月明かりの下でハーブを採取し、涙をトーストに落としました。そして、夜明け前の墓地で、その特別なトーストを食べると、突如として墓地全体が揺れました。霧が立ち込め、時が止まったかのような静寂が広がりました。
すると、和也の墓石がゆっくりと割れ、中から和也自身が現れました。彼の目は開いていましたが、生気がありませんでした。彼はまるで人形のように動いていました。
瑞穂は涙を流しながら和也に近づき、彼の顔を抱きしめました。その瞬間、彼女の温かさと愛が和也に伝わり、彼の中の命の火が再び灯りました。
和也と瑞穂は抱き合い、再会を喜びました。呪いが解けた墓地は再び平穏を取り戻しましたが、その場所は依然として不思議な力に満ちていました。
2人は手をつないで墓地を後にしましたが、彼らの後ろで、幽霊の少女が微笑んでいました。彼女は再びトーストの石に戻り、それ以後、瑠璃の墓地に人々が訪れることはありませんでした。
そして、和也と瑞穂の愛の伝説は、村に新しい物語として語り継がれることとなりました。瑠璃の墓地はその後も静かに時を刻み、蝴蝶が舞い続けました。恐ろしい場所であった墓地も、2人の純粋な愛によって、新しい希望と命を得たのです。
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