終わらない悪夢
私は普通の高校生、佐藤健だ。毎朝6時に起きて、制服に着替え、母親が作ってくれた朝食を食べ、学校へ向かう。友人たちと笑い合い、授業を受け、放課後には部活動に勤しむ。そんな何気ない日常が、突然、終わりを迎えた。
夜0時になると、全てがリセットされる。最初に気づいたのは、一週間前だった。目を覚ますと、昨日と全く同じ朝が繰り返されていたのだ。最初は夢だと思ったが、何度も同じ日が繰り返されるうちに、これは夢ではないと確信するようになった。
ループの記憶を持つのは、どうやら私だけではないようだ。学校の廊下で、クラスメイトの山田直樹が「お前も気づいてるか？」と声をかけてきた。彼もまた、この不可解な現象に気づいていたのだ。私たちは手を組み、ループから抜け出す方法を探し始めた。
手がかりはなかなか見つからなかったが、ある日、古い図書館で一冊の本を見つけた。「幽霊の家」と題されたその本には、過去に多くの不可解な事件が起きた廃屋について書かれていた。どうやら、その家がループの鍵を握っているらしい。
「行ってみるか、幽霊の家に。」直樹がそう言ったとき、私は躊躇した。しかし、他に選択肢はなかった。私たちは翌日の放課後、廃屋へ向かうことにした。
その家は町の外れにあった。道中、空気は次第に重くなり、不気味な静けさが周囲を包んでいた。鳥のさえずりも、風の音も、何も聞こえない。ただただ、私たちの足音だけが響いていた。
「ここか…」目の前に現れたのは、古びた木造の家だった。窓は割れ、扉は半開きになっていた。まるで、私たちを誘い込むかのように。
「行くぞ、健。」直樹が震える声で言った。私は深呼吸をし、家の中へと一歩を踏み出した。
家の中は薄暗く、かび臭い匂いが漂っていた。壁にはひび割れが走り、床は腐りかけている。私たちは慎重に足を進めた。
「聞こえるか？この音…」直樹が耳を澄ませると、遠くからかすかな足音が聞こえてきた。私は背筋が凍りつくのを感じた。
「ここだ。」直樹が指差したのは、一枚の扉だった。私たちはその扉を開け、中に入った。そこには、古い日記と共に一枚の鍵が置かれていた。
「これが…」私は日記を手に取った。しかし、その瞬間、背後から冷たい風が吹き抜け、誰かの囁き声が耳元で聞こえた。「逃げられない…」
私たちは振り返ると、そこには影のような存在が立っていた。私は恐怖で動けなくなった。しかし、直樹が叫んだ。「走れ、健！」
私は必死に駆け出した。廃屋から逃げ出し、夜空を見上げると、もうすぐ0時だった。「間に合うか…？」時計の針が0時を指す瞬間、全てが白い光に包まれた。
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現実世界がローグライトゲームになった