【14】五つの冷たい監視者

◆ 不自然な依頼

渡辺多々梨のもとに、大学時代の先輩から一通のメッセージが届いた。
「おかしな物件がある。多々梨、お前の出番だ。」

彼女は「大丈夫っしょ」と呟きながら、その住所へ向かった。
場所は市街地から少し離れた、取り壊し寸前の古いマンション。
その一室――『304号室』にだけ、奇妙な現象が起きるという。

エアコンが、5台も設置されている。
それぞれが、勝手に動き出すのだと。

◆ 不気味な部屋

ドアを開けると、すぐに異様な空気を感じた。
部屋の中は異様に寒い。しかも、壁に設置されたエアコンは、全て異なる方向を向いていた

1台は玄関側、1台はキッチン、1台はリビング、1台は浴室の扉の上、そして最後の1台は……天井の中心に、逆さに取り付けられていた。

(これは普通じゃない……)

多々梨は首元の十字架を無意識に指でつまみながら、じっと各エアコンを観察した。

すると――

ブゥゥゥン――。

誰も操作していないのに、天井のエアコンが唸りを上げて動き出した。
しかも、冷気ではなく、妙に湿った空気を吹き出している。

◆ 異常な冷気と記録

持参した温度計を取り出して測ると、各エアコンの前だけ異様に温度が下がっている。
だが、それ以上に気味が悪かったのは、床にうっすらと浮かび上がった足跡だった。

濡れた裸足の跡が、エアコンの風が当たる場所にだけ点々と続いている。
しかも、その跡は全部子どものものだった。

(……この部屋、誰かを見張っている?)

多々梨の背中を冷たい汗が伝った。

◆ 本当の役割

やがて、エアコンのすべてが同時に動き出した。
各方向から吹きつける冷風が、部屋の中央に向かって集まる。

冷気に包まれながら、多々梨は思い出した。
数年前、このマンションで起きた集団児童監禁事件のことを。

この部屋は、かつて複数の子どもたちを閉じ込めるために改造されていた。
逃げられないように監視し、体力を奪うため、エアコンを四方八方に設置したのだ。

中央に集まった冷気の中心――そこに、うずくまるような"何か"の気配がした。

◆ 逃げられない空間

(マズイ、ここにいては……)

多々梨は後ろを振り向き、ドアに駆け寄ろうとした。
しかし、ドアノブは凍りついたかのように動かない。

その時、耳元で囁き声が聞こえた。

「まだ、逃げないで。」

彼女は心臓を鷲掴みにされたような恐怖を覚えた。
エアコンの冷風はますます強まり、彼女の周囲に無数の小さな足音が響き渡る。

(だ、大丈夫っしょ……)

必死に呟いたが、声は震えていた。

◆ 最後の選択

もう一度だけ力を振り絞り、ウェストポーチから取り出したアウトドア用ナイフでドアの隙間をこじ開けた。
ドアはバリバリと音を立てて割れ、多々梨は外へ飛び出した。

振り返ると、部屋の中には、凍りついた小さな"手"が、ガラス越しに彼女をじっと見ていた。

そして、五つのエアコンが、一斉に電源を落とした。

まるで――
役目を終えた監視者のように。

――完――

生成メモ

怖あい話GPT2025を使用して生成、プロンプトは『エアコンが5つ設置されている部屋の謎を解く話を生成して』