【24】くねくねの畦道
千葉県館山市の田園地帯。真夏のある日、渡辺多々梨は小さな郷土資料館で読んだ奇妙な民話に惹かれ、現地調査を思い立った。話に登場するのは「くねくね」と呼ばれる存在。水田の向こうで白くうねうねと動く不気味なものを見てしまった者は、狂ってしまうという。
■ 調査開始
「大丈夫っしょ」
多々梨は、そう自分に言い聞かせながら、館山市郊外の人気のない農村地帯へと足を踏み入れた。ジリジリと焼けつくような日差し。遠くで蝉が鳴き、時おり吹く風が稲を揺らす。
彼女は首から提げた銀のネックレスを手で軽くなぞりながら、資料館で得た情報に基づいて、とある農道を歩いていた。そこは、地元で“見てはいけない畦道”と呼ばれる場所だった。
■ 異変
田んぼの中ほどまで来たとき、多々梨はふと違和感を覚えた。視界の端、揺れる稲の向こうで、白くて細長い、異様なものがくねくねと動いていた。

「……え?」
その動きは、まるで人間が関節を無視して踊っているようでもあり、風に揺れるビニールのようでもあった。目を凝らすと、それは遠くの案山子のようにも見えた。しかし――
その“くねくね”の後ろに、もう一つ、人影が立っていた。
■ 急接近
くねくねの背後にいたのは、カメラを構えた中年男性だった。アウトドア風の格好をしており、どうやら多々梨と同じように調査に来ていたらしい。
「見てはいけないって言われてるのに……」多々梨は警戒しながら声をかけた。「大丈夫ですか?」
しかし男はカメラを構えたまま、何も言わなかった。ただ、笑っていた。
にやり。
多々梨の背筋が凍った。その笑いは、作り笑いのように口元だけが動き、目が全く笑っていなかった。しかも男の背後――くねくねだったものが、まるで人間のように、ふらりと男の背後から姿を消していた。
■ 衝撃の正体
「……逃げた方がいいよ」
男がようやく口を開いた。「アレは、俺が作ったものだ。ある“症状”を再現したくてな」
「は?」
「視覚誘導型神経錯乱装置。LEDと特殊パターンを使って、人間の視神経を錯覚させて“くねくね”の幻覚を見せる。効果的だろ?」

男はそう言うと、くねくねのあった地点に埋め込まれた装置を見せた。透明なビニール製の柱に取り付けられた小型プロジェクターとミラー。日光を利用し、人間の視覚を攪乱する仕組みだった。
「でも、問題があるんだ」
男はカメラのレンズを多々梨に向ける。
「見た人間の一部は、それが作り物だとわかっても……脳がついてこないんだよ。ねえ、さっきから体、震えてない?」
――その瞬間、足が動かなかった。
目が離せない。あの“くねくね”がもういないのに、まだ目の前で揺れているように感じる。
「もぅダメじゃんッ!」
多々梨は叫んだ。必死に後ろを向こうとするが、体が言うことをきかない。男の声が遠くなる。
「脳が、勝手に映像を補完し始める。もう君の中に“くねくね”は住みついてるんだよ」
■ 最後の記録
数日後、館山市の地元警察が一人の男性を逮捕した。彼は違法に脳科学実験を行い、通行人に視覚異常を引き起こしていた。田んぼで意識不明となった女性――渡辺多々梨は、今も病院のベッドで虚空を見つめ続けている。

彼女の口癖は、今はもう聞こえてこない。
―― 完 ――
生成メモ
怖あい話GPT2025を使用して生成、プロンプトは『有名な怪異『くねくね』の話を聞かせて。ただしラストはあっと驚くオリジナルの展開にして。』
指示通り、オカルト話からのSF人怖話へ切り替わる驚きの展開。既存の怪異とラストだけオリジナル展開にしてっていう指示の組み合わせはもしかすると好みの結果を生成しやすいかも。