【19】どれだけ傾けても倒れない椅子
2025年5月2日
第一章:発明家の遺品 館山市の郊外にある古びた民家。そこは先月亡くなった老発明家・葛西恭一の屋敷だった。渡辺多々梨は、その屋敷の片付けボランティアとして現地に訪れていた。 築60年の木造建築の中は、天井の木材が黒ずみ、畳 […]
【18】カレーライスのパラドックス
2025年5月1日
第一章:食堂での違和感 渡辺多々梨は、館山市にある公共施設「南総文化センター」の一角にある職員食堂で昼食をとっていた。注文したのは日替わりの「特製カレーライス」。茶色く煮込まれたルーは程よくスパイスが効いていて、炊き立て […]
【17】返品列の終わらない声
2025年4月30日
第一章:予言が外れた朝 2025年4月30日、千葉県館山市。空は妙に晴れ渡り、春の陽射しが地面に長い影を落としていた。 「今日、来るって言ってたのに…」 防災予言系のSNSインフルエンサーが「今日午後3時に南関東で震度7 […]
【15】キツネのダンクシュート
2025年4月30日
千葉県南部、館山市の外れにある廃校。そこはもう誰も近寄らない場所だった。中学校だったというその建物は、今や苔むしたコンクリートとひび割れたガラス、吹き抜ける風が木製の床を軋ませるだけの空虚な箱と化していた。 渡辺多々梨は […]
【14】五つの冷たい監視者
2025年4月29日
◆ 不自然な依頼 渡辺多々梨のもとに、大学時代の先輩から一通のメッセージが届いた。「おかしな物件がある。多々梨、お前の出番だ。」 彼女は「大丈夫っしょ」と呟きながら、その住所へ向かった。場所は市街地から少し離れた、取り壊 […]








