呪われたサンドイッチ
僕が海辺の町に到着したのは、夏の日差しがまだ強い午後だった。久しぶりに祖父の家を訪ねるため、静かな港町にやって来た僕は、心地よい潮風に誘われて砂浜に降り立った。そこで僕は、町のパン屋で買ったばかりのサンドイッチを取り出し、昼食を楽しむことにした。
ふわふわのパンに挟まれたハムとチーズが、なんとも美味しそうに見える。僕は一口かじろうとした、その瞬間だった。突然、頭上から鋭い鳴き声が響き渡り、何かが風のように目の前を横切った。
「えっ?」と驚いて顔を上げると、僕の手にあったはずのサンドイッチが消えていた。代わりに、遠くの空に一羽のカモメが飛び去っていくのが見えた。それは普通のカモメとは明らかに違っていた。大きな体躯と異様に赤く輝く目、その全身から漂う不気味な雰囲気に、僕はただただ呆然と立ち尽くしていた。
「なんだ、あれ……?」僕は恐る恐るそのカモメを見つめながら、サンドイッチを取り返そうとする無謀な気持ちが芽生えた。いや、ただのサンドイッチじゃない。何かがおかしい。このカモメを追いかけなければならない、そんな奇妙な衝動に駆られたのだ。
砂浜を駆け出し、僕はカモメの後を追った。カモメは時折振り返るようにこちらを見ては、海岸線に沿って飛び続ける。その飛び方はまるで僕をどこかへ導いているかのようで、まるで僕に「ついて来い」とでも言っているようだった。
カモメを追いかけるうちに、僕は気づけば町外れの静かな場所に足を踏み入れていた。周囲には人影もなく、ただ波の音が遠くに聞こえるだけだ。カモメは一度も僕を見失わせることなく、まるで道案内をするかのように飛び続けている。
「一体、どこまで行くんだ……?」僕は息を切らしながらも、なぜか足を止めることができなかった。不安と恐怖が胸を締めつけるが、それ以上にこの異様な状況に対する好奇心が勝っていた。
やがて、僕の目の前に古びた漁船が現れた。それはまるで長い間、誰にも忘れ去られたかのように、波打ち際に打ち捨てられていた。船体は朽ち果て、塗装が剥がれた木材がむき出しになっている。近づいてみると、その船がかつて町で語り継がれていた呪われた漁船であることに気づいた。
「これが……伝説の……?」僕の声は震えていた。その瞬間、カモメが再び鋭い鳴き声を上げ、漁船の方へと舞い降りた。まるで僕に「来い」と命令しているかのようだった。
恐る恐る漁船に近づいた僕は、カモメが導くまま船内へと足を踏み入れた。船内は薄暗く、潮の香りが充満している。朽ちた木材の隙間から冷たい風が吹き込み、まるでこの船がまだ生きているかのような錯覚に陥る。
船内を歩き回るうちに、僕は次第に恐ろしい事実に直面することになる。床には古い血痕が残り、壁には何かが引き裂かれたような跡がある。さらに奥へ進むと、そこには古い日記が残されていた。日記には、この漁船で何が起こったのかが詳しく記されていた。
それは船員たちがある日、海で見つけた奇妙な遺物を船に持ち帰ったことから始まった。その遺物はカモメの姿をした彫刻で、それを船に乗せた瞬間から、奇妙な現象が次々と起こり始めたという。船員たちは次々と狂気に陥り、最後には全員が船と共に海の底へと消えていった。
僕はその日記を読んでいるうちに、背後から何かが迫ってくる気配を感じた。振り返ると、そこには赤い目を輝かせたカモメが立っていた。そして、その瞬間、僕は全てを理解した。あの彫刻はこのカモメの姿を写し取ったものであり、カモメこそが船員たちを狂わせた元凶だったのだ。
「逃げなきゃ……!」僕は恐怖に駆られ、船から飛び出そうとしたが、足がすくんで動けない。カモメはゆっくりと僕に近づき、その目がますます赤く輝いていく。僕は絶望の中で最後の叫び声を上げたが、それが誰かに届くことはなかった。
怖あい話GPT (https://chatgpt.com/g/g-okb1Ec1d2-bu-aihua-gpt)
prompt:
カモメにサンドイッチを奪われる